従業員の副業・兼業への対応と副業・兼業の労務管理、制度設計上の留意点

講 師

TMI総合法律事務所 弁護士 堀田陽平 氏

講 師 略 歴

2018年10月から2020年9月まで経済産業省経済産業政策局産業人材政策室室長補佐として着任。人材版伊藤レポートの策定、兼業・副業、フリーランス、テレワークの推進等、多様な働き方の推進政策に従事。
著書:「Q&A 企業における多様な働き方と人事の法務」(新日本法規、単著)、「働き方の多様化に備える労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務」(日本法令、共著)、その他寄稿多数。
情報発信:日経新聞私見卓見「ジョブ型雇用を機能させるには」掲載(2021年2月26日)、その他日経COMEMOキーオピニオンリーダーとして働き方に関する情報発信を行う。

プログラム

開催主旨

働き方改革実行計画に基づいて平成30年1月にモデル就業規則の改定と「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が策定されました。

その後も、政府は副業・兼業の推進を図っており、令和2年9月の副業・兼業ガイドライン改定では、「管理モデル」の策定を含めた労務管理上の考え方が整理されました。また、令和4年7月の副業・兼業ガイドラインの改定では、副業・兼業の許容状況等の開示を推奨する旨が示されました。

副業・兼業の推進については、経済産業省産業人材政策課が令和4年5月に公表した「人材版伊藤レポート2.0」においても人的資本経営の実践の手法の一つとして推奨され、人的資本経営との関係でも重要性が増しています。そもそも、法的には副業・兼業は原則として自由であるとされており、これを禁止することは例外的な場面に限られています。したがって、そもそも副業・兼業を一律に禁止している企業は考え方を転換する必要があります。また、副業・兼業の「許容」からさらに「推進」を図る場合には、副業・兼業の場合の労務管理のポイントを押さえつつ制度設計を行う必要があります。

そこで、本セミナーでは、副業・兼業を禁止の可否の判断や、副業・兼業の場合の労務管理等の法的留意点を踏まえた副業・兼業制度の設計のポイントについて解説し、近時の政府における副業・兼業の議論の動向についても紹介します。

プログラム

第1部 副業・兼業の現状
1 副業・兼業推進政策の経緯と現在
2 企業と働き手の副業・兼業に対する対応状況

第2部 副業・兼業を禁止できる場合の限界
1 副業・兼業の自由に関する裁判例
2 副業・兼業の許可制度とその限界
3 トラブル事例からみる副業・兼業を禁止できる場合/できない場合
4 政府での最新の議論

第3部 副業・兼業の場合の労働基準法等の労働関係法令の適用
1 労働時間の通算の要否
2 他社での労働時間の把握管理方法(自己申告、管理モデル)
3 副業・兼業ガイドラインと厚労省通達の法的問題点
4 副業・兼業の場合の残業代請求訴訟への対応
5 政府での最新の議論

第4部 業務委託型の副業・兼業の受入れの注意点
1 業務委託型副業と副業・兼業ガイドラインの関係性
2 業務委託型副業場合に適用される法律、ガイドライン
3 労働者性の判断基準
4 フリーランス新法のポイント
5 業務委託契約で副業人材を受け入れる場合のポイント

第5部 副業・兼業と残業命令等の人事権行使と健康確保
1 副業・兼業実施者への残業命令の可否
2 副業・兼業実施者への転勤命令の可否
3 最新裁判例を踏まえた副業・兼業実施者に対する安全配慮義務違反の成否
4 副業・兼業の場合の労災認定と労災給付

第6部 副業・兼業ガイドラインの問題点と副業・兼業の推進と制度設計の留意点
1 副業禁止が招く法的リスクと開示推奨を踏まえた制度設計のポイント
2 副業・兼業の許可にあたり申請を受けるべき情報
3 副業・兼業許可後の対応
4 制度設計にあたりよくある疑問点と対応(許可条件の設定、労働時間管理方法、社会保険の適用等)

プログラムについてのご相談、ご質問等は以下担当までご連絡ください。

(一社)企業研究会 民秋(たみあき)
TEL 070-2625-4687
mail tamiaki@bri.or.jp