経営に資する内部監査の指摘と改善提案の進め方
講 師
公認内部監査人・公認会計士・米国公認会計士(現在inactive) 公認会計士藤井監査事務所 代表 藤井範彰 氏
講 師 略 歴
30余年の監査法人勤務の内、最初の約20年は会計監査に従事しつつ、E&Yから移ったアンダーセンでは米国本社の指示で米国流会計監査の日本での導入のために監査法人内のパートナーからスタッフまでの全ての監査人を対象に監査の研修や品質管理の活動をしたり、公認会計士協会本部の委員会活動(国際委員会副委員長、会計制度委員会副委員長、監査基準委員会委員他)にも専念。続く10余年は、内部監査、内部統制、リスクマネジメント、不正調査に特化し、アンダーセン消滅時に朝日監査法人代表社員を辞してPwC(中央青山監査法人)に移り代表社員も務めた後、J-SOXの制度化を前に招聘に応じて復帰した新日本監査法人(E&Y)で内部統制支援本部統括部長、ビジネスリスクサービス部長、FIDS(不正対策・係争サポート)部長等を歴任。2012年、シニアパートナーを早期退任し、ボルボ・グループで日本の内部監査統括を務め、同グループ会社UDトラックス㈱の監査役を7年間務めた後、現在は内部監査や不正対応・ガバナンス関連の講演や研修・執筆・アドバイザリー業務に従事。
最近の著書『内部監査のプロが書く監査報告書の指摘事項と改善提案』(同文舘出版2016年11月)で2017年度日本内部監査協会青木賞受賞。2019年9月同書第2版出版。他にも著書「経営者と会社を動かす内部監査の課題解決法20」税務経理協会2012年、論文「リスクベースによる内部監査の指摘と改善提案~リスクを意識した内部監査の高度化~」日本内部監査協会月刊監査研究2023年7月号、「経営に資する内部監査のリスク対応~理論と実務で解き明かすリスクベースの監査対応」同誌2020年7月号等多数。
プログラム
開催主旨
経営に資する内部監査の価値は監査による指摘事項や改善提案の出来栄えで決まる要素が大きいと思われます。内部監査でもアシュアランスの監査が主流ですが、法令や社内規定の準拠性の確認だけに止まらず、少しでも不備がある場合の改善の手法や、更にビジネスを高度化する手法を提案することでより高い価値が認識されます。こうした価値を高めるには、個々の指摘・提案事項の捉え方や書き方を工夫して標準化しておくことが重要です。
そこで今回は内部監査の出来栄えに関し重要となる指摘事項と改善提案の切り出し方、書式、文章表現などの標準例を具体的な業務監査の事例として紹介して、指摘と改善提案に付加価値を与えて監査報告書を専門的な作品に仕上げる規律とルールをお伝えするつもりです。
またリスクベースの監査によって問題を指摘するのは当然としても、リスク認識に使用するリスクモデルのあり方も重要です。また海外監査では国内の事業とはリスク環境が異なるため、指摘すべき項目の違いやリスクの大きさにも国内の監査とは違いが出てくることも理解すべきですし、更に、伝統的な準拠性監査に比べると合否の判定が難しい経営監査領域の指摘やソフトコントロールを含んだ統制環境における指摘や改善提案の捉え方にも検討が必要です。
こうした点も想定して具体的な事例も含めて実務上の問題やその対応方法を解説いたします。
プログラム
1.経営に資する内部監査の捉え方と監査の指摘と改善提案の位置づけ
・IIAの基準や指針における内部監査の指摘事項と改善提案に関する規定
・アシュアランス型監査報告書における指摘事項の位置づけと要約の表し方
・専門家にふさわしい問題の取り上げ方と被監査部署との関係
2.内部統制の核心にせまる監査の指摘と提案を導くロジックの組み立てと記載内容
・ダメ出しに終わらない、内部監査のプロが捉えるコントロールの不全
・改善提案の3つのパターン、指摘事項に説得力を与える構成要素
・リスクの記載要領と内部監査で使うリスクモデルの検討
3.事例から感じ取る指摘と改善提案の勘どころ
・ケーススタディによる論点の確認と良い例・悪い例の検討
・監査報告書に使われる言葉の言い回しや慣用句の留意点
4.リスク環境によって異なるリスクベースの指摘と提案の検討課題
・海外監査で見られる国内では見かけない指摘項目の紹介と事例の解説
・準拠性監査では限界がある経営監査や統制環境の監査における指摘のあり方
5.まとめ:内部監査を高度化させる要点
・経営層にインパクトのある監査報告書の書き方
・改善提案のパターンごとの留意点
プログラムについてのご相談、ご質問等は以下担当までご連絡ください。
(一社)企業研究会 民秋(たみあき)
TEL 070-2625-4687
mail tamiaki@bri.or.jp